平成の“奇病”
まず知らなきゃ手も打てない
成果主義によるストレスの増大や食生活の欧米化で、中高年を襲う“平成の奇病”が広がっている。それが原因で仕事や家庭を失ったり、命まで奪われるケースもあるから恐ろしい。3つの主な“奇病”を取り上げ、どう対処すればいいのか専門家に聞いた。
●大人のADHD
いつもそわそわして落ち着きがなく、ミスが多い――。そんな人はこれを疑った方がいい。ADHD(注意欠陥・多動性障害)というと子供の病気と思われているが、大人は「それがその人の個性」と見られて目立たないだけ。ほっておくと、うつ病やアルコール依存症などの合併症を起こし、社会生活不能になりかねない。
「大人のADHDは成人の2%(約200万人)ともいわれますが、着実に増えています。子供のADHDは遺伝と深いかかわりがあり、環境ホルモンやストレスなど複合要因が加わることで発症し、多くが治療されないまま大人になるからです」(福島学院大学福祉心理学部の星野仁彦教授)
合併症がなければ治療は難しくない。心理カウンセリングと薬でほとんどは治るという。
●ピック病
40〜50代での発症が多い若年認知症のひとつ。アルツハイマーが記憶などをつかさどる側頭葉から後頭部を侵されるのに対して、主に感情をコントロールする脳の前頭葉・側頭葉が変性する。そのため、物静かだった人が突然、万引や痴漢に走り、周囲をビックリさせることもある。群馬県こころの健康センター所長で精神科医の宮永和夫氏が言う。
「10年前の国の調査では患者数は推計2万5000〜3万7000人。ストレスが原因の病気なので、増えているのは確実です。今は10万人近くいると思います」
この病気は薬などで進行を遅らせることはできても、完治はしない。寝る前にその日の出来事を3つ以上思い出すなど、普段から予防のための「頭の体操」を心がけるほかはない。
●キス病
キレイ好きの20〜30代の男女の間で急増中だ。正式名称は「伝染性単核症」で、思春期以降に「EBウイルス」に感染すると半数が発症。40度近い発熱、頭痛、食欲不振の症状が表れる。
「EBウイルスは唾液で感染し、日本人の95%以上が持っています。これまでは親が口移しで子供に食べさせるなどして乳児期に発症していたので症状が軽かったのですが、思春期以降に感染すると風邪のような症状が出ます。ひどいと劇症肝炎や血球貪食症候群になり、死亡することがあります」(大阪府立母子保健総合医療センター・河敬世院長)
原因不明の高熱が続き、貧血気味なら血液内科で診てもらおう。
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