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下肢静脈瘤[かしじようみやくりゆう]

下肢[かし]、特にふくらはぎの周りの静脈がふくれて、うねった状態になるのを下肢静脈瘤といいます。

静脈瘤には、表在静脈(皮膚に近い静脈)の弁が障害されて、立位で重力によって静脈血が逆流しうっ滞する一次性静脈瘤と、深部静脈が閉塞[へいそく]したため、表在静脈が代償的にふくれ上がる二次性静脈瘤があります。一般的に静脈瘤というと一次性静脈瘤をいいます。

先天的に静脈弁が弱い場合に発生し、したがって家族性によくみられます。静脈瘤を悪化させる因子として、高齢、肥満、妊娠、外傷などのほか、暖かい環境での立位作業(床屋、店員、歯科医)、長時間の坐位が挙げられています。

中年以後の経産婦に多くみられ、下肢の内側の大伏在静脈[だいふくざいじようみやく]、下肢の外側の小伏在静脈[しようふくざいじようみやく]、また両側下肢に生じ、立った姿勢では目立ちますが、寝て下肢をもち上げると消えます。立位でだるく、重苦しい、鈍い痛みが出ますが、歩行するといくぶん軽快します。

症状が重くなると、静脈のふくれ方がひどく、皮下出血や静脈炎を引き起こし、さらに色素沈着、皮膚炎、皮膚硬結[ひふこうけつ]もみられ、ついに傷(潰瘍[かいよう])もできます。

何年かを経てしだいに症状が悪くなることが多いのですが、静脈瘤がひどく、皮膚の変化を伴うもの、症状の強いものは手術で静脈を抜去します(ストリッピング)。比較的簡単な手術で症状はよくなり、再発も少なく良好な結果が得られます。

最近は血管を固める硬化薬を静脈瘤の部位に注入する硬化療法が外来で短時間にできる簡便な治療法として用いられます。重症例では静脈を結紮[けつさつ]して閉塞を確実にする併用治療が行われます。


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