大動脈瘤[だいどうみやくりゆう]
大動脈が胸部大動脈(上行、弓部、下行)から腹部大動脈までの間で、壁の一部分が弱くなってふくれるのが大動脈瘤です。動脈硬化症によるものが多く、外傷、感染、先天性のものもありますが、かつて多くみられた梅毒によるものは少なくなりました。ふくらみ始めると風船が破れるように破れて出血して急死するので、たいへん危険な病気です。高齢化の中で最近増加して注目されている病気です。
胸部大動脈瘤ではしだいに周囲の組織を圧迫して、せき、ものが飲み込みにくい、しわがれ声、顔のむくみなど、いろいろの症状も出てきます。胸痛、背部痛、腹痛がみられ、こぶが急に大きくなったものは破裂しつつあるものです。
高齢の男性に多い腹部大動脈瘤
もっとも多いのは腹部大動脈瘤で、60〜70歳の男性にみられ、ほとんどが動脈硬化症によるものです。特に嚢状[のうじよう]のものは破裂しやすく、予後は一般に悪く90%は5年以内に破裂出血死するといわれています。
薬物療法、民間療法はなく、症状がなくてもある程度大きいものは手術によって大動脈瘤をとり、人工血管を移植する必要があります。手術も一部の大動脈瘤を除いて、特に腹部大動脈瘤ではほぼ安全となってきており、積極的に手術することがすすめられます。
さらに最近では、膨張性のワイヤーでできたステントに人工血管を縫着したステントグラフトを、開胸したり、開腹したりせずに、大腿[だいたい]の動脈などから挿入して、簡便に動脈瘤の部位に留置する手術も盛んに行われてきています。
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