房室ブロック
刺激がうまく伝わらず、徐脈[じよみやく]を起こす
房室ブロックとは、心臓の中で電気的興奮が心房から心室へと伝わっていく過程に障害があるものをさします。心房の興奮が心室にうまく伝わらず、心房より遅いリズムで心室が独自に拍動するので、徐脈になります。
【房室ブロックの重さの段階】
障害の程度のもっとも軽いものをI度ブロックと呼びます。心房から心室へと興奮が伝わる時間が正常より延びているもので、自覚症状はほとんどありません。
もっとも程度の重いものを、III度ブロックとか完全ブロックと呼びます。これは心房の電気的興奮がまったく心室に伝わらず、心室は独自のリズム(心房のリズムより遅い)で収縮をくり返すので、全身の臓器への血液の供給が減少し、失神などの症状が出てきます。
この中間型がII度のブロックで、心房の電気的興奮が一部は伝わり、一部は伝わらないといった状態のものです。脈が時々抜けて感じられたりします。
原因としては、心臓病などで器質的な病変があって起こるものと、特別な病気はないのに生じてくるもの(機能的なもの)とがあります。
機能的な軽度のものは治療はいらない
I度の軽い房室ブロックは、副交感神経(迷走神経)の緊張状態がつづくだけでも起こります。小学校の上級生から高校生までの若い人や、運動選手などによくみられます。治療の対象となる場合はほとんどありません。
ただし、若い人では、リウマチ熱による心筋炎が原因になっていることがあり、この際には、さらに高度の房室ブロックへ移行することがあるので注意が必要です。
心停止、失神発作などが起こることも
心筋梗塞[しんきんこうそく]など、重い心臓病が存在する場合には、高度の房室ブロックが合併しやすくなります。
III度の房室ブロックでは、心房から心室への興奮伝導が完全にブロックされた状態なので、心室は独自の収縮によってポンプ機能を保とうとします。しかし心室固有のリズムでは、1分間に25〜50しか拍動できないのです。そのため、心筋に障害があると、全身の内臓器官に血液を十分供給することができず、心不全を起こすことがあります。
また、何かのはずみに心室のリズムが停止したりすると、心臓から脳への血液供給が減少して、失神します。これをアダムス・ストークス発作と呼びます。たいていは一過性ですが、心室が停止(心停止)したままの状態がつづけば死亡することもあります。このような発作を起こすような場合は、すみやかな救命処置を行い、人工ペースメーカーの植え込みを必要とします。
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