サルコイドーシス
どういう病気か
サルコイドーシス*とは類上皮細胞[るいじようひさいぼう]*という特異的な細胞からなる肉芽腫[にくげしゆ]が全身の臓器のあちこちにできる病気です。全身の至るところのリンパ節がおかされ免疫の低下が起こってきます。
サルコイドーシス
この病気は、今から130年前にイギリスのハッチンソンという皮膚科医が、皮膚に紫色の結節ができた患者を診て、「結核に非常に似ているが、結核とは異なる病気」と報告したのが最初です。その後、つづいて数人発見され、患者の名前をとったり、研究者の名前をとったりして、20以上の病名がつけられていました。
日本では、リンパ節が弾力性に富み、肉腫〈にくしゅ〉のように大きく腫れることから「類肉腫瘍〈るいにくしゅよう〉」といわれていました。しかし、肉腫という文字は、悪性のものと誤解を受けやすいことから、世界各国で使われているギリシャ語の病名「サルコイドーシス」に統一されました。
類上皮細胞
新しい結核結節では中心に、乾酪化〈かんらくか〉した結節では周囲に存在し、細胞は蒼白淡明〈そうはくたんめい〉に染まる原形質に富み、多くはだ円形ないし紡錘形をしています。貪食能〈どんしょくのう〉が強く、細網内皮系または単球に由来しています。
近年増えている病気
地理的にみると、わが国では北日本に多く発生し、南日本に少ない傾向があります。世界的にも、ヨーロッパでは北に多いこと、また米国では白人と比較し、黒人の発生率、蔓延率[まんえんりつ]が高いことが知られています。
年齢別では男女とも20代と50代にピークがある2峰性カーブですが、女性では50歳で男性の倍高いピークを示し、男性とは相反する図形となっています。近年では高齢者の発生数が、特に女性で増えていることから、性別では女性が多くなってきています。全国調査や47都道府県に登録された特定疾患の受給者証*交付数からみると、年々増加し、今では新患者は年5000人以上となっています。
受給者証
サルコイドーシスは厚生労働省の特定疾患(いわゆる難病)に指定されている病気です。国から受給者証を交付され医療費の一部補助を受けることができます。
原因はいまだに不明
原因として松の花粉説、結核菌や非定型抗酸菌あるいは真菌[しんきん]、プロピオニバクテリウム・アクネス(皮膚の常在菌)の感染によるなど種々の説がありますが、いずれも明白なものではありません。遺伝的、体質的なもの、家族発生も多くみられます。
また、患者の血液中のHLA(白血球の血液型)の中で、DRw52ないしDRw53が多いという特徴がありますが、それが直接病気に結びついているのかは不明です。
目の症状で発見されることが多い
今までは、集団検診などのときに胸部X線の検査で両側肺門リンパ節腫脹[りようがわはいもんりんぱせつしゆちよう](BHL)として発見されることが多かったのですが、最近では特に目の自覚症状で受診し発見される例が増えてきました。そのため、最初は眼科を訪れ、そして確定診断のために呼吸器内科を紹介されるようになっています。
胸部X線検査で、両側の肺門リンパ節の腫れが90%に、結核、塵肺[じんぱい]、肺線維症に似た肺の病変が30%にみられます。目の検査ではブドウ膜炎、網膜の血管の変化が30〜40%にみられます(報告者によっては80%という説もあります)。
病変が進むと息切れ、せきなどの呼吸器症状、両目のかすみ、飛蚊症[ひぶんしよう]、そして続発性緑内障[ぞくはつせいりよくないしよう]、白内障[はくないしよう]に移行します。このほか発熱、わきの下や鼠径部[そけいぶ]リンパ節の腫れ、皮膚の赤みをおびた腫れ(しこり)がみられます。また、心病変(伝導障害、期外収縮、心筋障害など)が多くなってきています。
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