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肺血栓塞栓症[はいけつせんそくせんしよう]、肺梗塞症[はいこうそくしよう]


血栓により肺動脈に血流障害を起こす
肺血管内に血栓が形成され、その先の血流がとだえるのが肺血栓症、下肢の静脈などほかの部位で形成された血栓や腫瘍細胞塊[しゆようさいぼうかい]などが体静脈を通って肺動脈で詰まり、血流がとだえるのを肺塞栓症[はいそくせんしよう]といいます。この2つを総称して肺血栓塞栓症といいます。

これらはともに病変部に血流はなくても、通常、換気は保たれています。しばしば話題になるエコノミークラス症候群(現在は深部静脈血栓症といわれています)の本体もこの病気です。

しかし、血流のとだえた部位の組織が壊死[えし]し、換気も血流もなくなった場合は肺梗塞症となります。

これらの病気の頻度は合わせて10万人に約2.7人で、女性にやや多く、中年以降に多くみられます。

症状が強いときは緊急の処置が必要
症状は、体動時の息切れのみということもありますが、呼吸困難、胸痛、せき、血痰[けつたん]、不安感などが伴うこともあります。症状が強いほど緊急の処置を必要とします。

治療および療養上の注意
治療は、診断がつきしだい早期に血栓溶解薬と抗凝固薬を静脈内に注射で用います。状況に応じて酸素吸入や利尿薬が必要となります。塞栓[そくせん]が大きい場合は、手術を要することもあります。急性期がすぎたり、慢性型の場合には、経口による抗凝固薬を用いることになります。

深部静脈血栓症
航空機の狭い座席に長時間座っていた乗客が動いた直後に呼吸困難となる病態から旅行者血栓症、エコノミークラス症候群ともよばれますが、本体は下半身の静脈にできた血栓が肺動脈に詰まる肺塞栓症[はいそくせんしよう]です。

狭いエコノミークラスの座席のみでなく、ファーストクラスでも起こりえますし、長時間の自動車や電車の旅でも報告があります。長時間フライトの国際線で飛行開始から到着まで一度も席を離れず、トイレもがまんしたという場合が危険で、飛行中は十分な水分をとり、適度に足の運動をし、衣服をゆるめるなどの予防策をとることが大切です。



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