溶血性貧血[ようけつせいひんけつ]
溶血とは、文字どおりからだの中で赤血球が溶けて、壊れてしまうことです。
人間のからだはうまくできており、赤血球の破壊が盛んになると、貧血にならないよう骨髄もがんばります。骨髄がその機能を最大限に発揮すると、ふだんの約8倍の製造能力を示すといわれていますが、この代償能力以上に溶血(破壊)が進むと、貧血が起こってきます。
先天性のものと後天性のものがある
溶血が起こる原因は、
(1)生まれつき赤血球になんらかの異常(赤血球膜の異常、ヘモグロビンの異常、赤血球内酵素の異常)が存在するために起こる先天性溶血性貧血[せんてんせいようけつせいひんけつ]
(2)赤血球に異常はないが、赤血球を取りまく環境(免疫現象に関係するもの、薬物によるもの、感染症に伴うもの)に原因がある後天性溶血性貧血[こうてんせいようけつせいひんけつ]に分けられます。
溶血の症状
赤血球の破壊が進むと、貧血、軽い黄疸[おうだん]がみられます。これは溶血性黄疸と呼ばれ、ふだんよりも大量のヘモグロビンが代謝されるために黄疸色素であるビリルビンが過剰にできてくるからです。このほか、脾臓[ひぞう]が腫れることもあります。
骨髄での赤血球産生の亢進[こうしん]を示すものとして、末梢血液中には網状赤血球と呼ばれる若い赤血球が増加してきます。そして、骨髄中では赤血球のもとになる細胞(赤芽球[せきがきゆう])が増えてきます。
専門施設での治療が必要
先天性のものでは、根本的な治療法はありませんが、遺伝性球状赤血球症[いでんせいきゆうじようせつけつきゆうしよう]*のように脾臓[ひぞう]を摘出すると症状が改善するものがあります。
後天性の自己免疫溶血性貧血の大部分は、副腎皮質ホルモン薬で改善がみられますが、薬の使い方が難しいので、いずれも専門の施設で治療を受けることが必要です。
遺伝性球状赤血球症
赤血球の中央にくぼみがなく、球状に近い形になっています。このような赤血球は壊れやすいのです。赤血球は脾臓で破壊されます。
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