無症候性心筋虚血(無痛性心筋虚血)
近年、運動負荷心電図、ホルター心電図や冠動脈造影法の普及につれて、冠動脈に器質的あるいは機能的な狭窄[きようさく]や閉塞*[へいそく]がありながら、狭心症のように明らかな胸痛発作を起こさない無自覚な心筋虚血発作をもつ例の少なくないことがわかってきました。このいわば自覚症状のない狭心症は無症候性(無痛性)心筋虚血と呼ばれ、最近、注目されています。
この無症候性心筋虚血(SMI)には、
(1)これまでに狭心症や心筋梗塞[しんきんこうそく]の既往がなくてまったく無症状の場合
(2)心筋梗塞後に無症状で出現する場合
(3)狭心症で狭心痛を感じる発作に混じって無痛性の心筋虚血の発作がみられる場合
の3つの型があります。
狭心痛を自覚する痛覚閾値[つうかくいきち]には、基本的に個人差があり、年齢が増すにつれ上昇します。また、無症候性心筋虚血のある例は比較的多く、おおまかには狭心症や心筋梗塞例の半数以上にこの病態がみられます。しかも、全虚血発作数のうち自覚症状のない発作数の症例の方が多いのです。
自覚症状がないため、虚血発作への対応が遅れることや、虚血発作を完全には治療しない中途半端な治療をするなど、長期の予後に大きく影響を及ぼします。
したがって、狭心症や心筋梗塞例を治療する際には、自覚症状の改善だけではなく、無症候性心筋虚血発作の有無を適宜検査してもらう必要があります。自覚症状が消えることは改善を意味しますが、心筋虚血発作が完全に消えたということではありません。くれぐれも注意して、医師の指示に従ってください。
器質的あるいは機能的な狭窄や閉塞
冠動脈の血管壁に粥腫〈じゅくしゅ〉ができ、動脈硬化を起こして血管の内腔〈ないくう〉がしだいに狭まったり閉塞したものが器質的な変化です。
また、血管壁にできた粥腫が破綻し、そこに血栓〈けっせん〉を生じ、それらにより血管内腔が狭窄や閉塞したり、血管が攣縮〈れんしゅく〉を起こして、一時的に血管内腔に狭窄や閉塞を起こしたものが、機能的な変化です。
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